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2006年7月20日 (木)

詩集のすすめ

Grape ■人生ではじめて出会った詩集はサトウハチローの「おかあさん」シリーズでした。まだ幼稚園だったので、おそらく読める平仮名が多くて好きだったのでしょう。何度も「おかあさん」の文字が出てくるので親しみもあったのだと思います。最近ドラマでサトウ氏の破天荒人生を知り、作品のやさしい印象とのギャップに驚いたりしました。■次に心に残った詩集は10歳の時に出会った「東君平」の作品です(タイトル忘れました^^;)。彼はイラストレーター&童話作家で、これまた破滅的な人生を送った人だと大人になってから知りました。その詩集にはデフォルメされた動物のイラストたちを主人公にして、社会を批判したような、どこか皮肉めいた詩が書かれていました。70年代とうい時代の空気もあったのでしょう。子供の私にとっては「ちょっとひねくれた絵本」という存在でしたが、なぜかとても好きな一冊でした。ものごとを「別の角度から見る」面白さを教えてもらったような気がします。■大人になって出会った詩集で一番強烈に、それこそ人生をも変えてしまった作品といえば、あのオノ・ヨーコの「グレープフルーツ」です。私の生まれた1964年に500冊限定で自費出版された初版本。飛行機が霧で欠航になった社員旅行の帰りに、急遽乗った寝台車ブルートレイン(今は無くなってしまいました 泣)の向いの席に座ったデザイン部の男の子が「古本屋で見つけた」と、後日その本を貸してくれました。(現在は「グレープフルーツ・ジュース」となって、その中から抜粋された33編が写真家とコラボレートされすっかり有名詩集になりましたが)。少し色褪せた文庫本よりちょっとだけ大きなその本にびっしりと書かれた言葉の数々は衝撃的でした。もし飛行機が予定通りに飛んでいたら、出会わなかったかもしれない。そう思うだけでも特別な存在の本です。■本当に力を持った言葉はいつまでも色褪せることなく、そして朽ちることなくこの世に残っていきます。「グレープフルーツ」からは、ジョン・レノンの「イマジン」が生まれました。そうやって詩は、時に偉大な音楽をも生み出します。だから偶然N.Y.のギャラリーで見つけた「グレープフルーツ」の直筆原稿が、まるで小学生の作文のように原稿用紙に幼い鉛筆文字で書かれたものだったことは、なんだか不思議でもありました。■詩とは本当に不思議な存在で、自分の心の扉が開いていないと、「ただの言葉」として素通りしてしまうこともあります。逆に人生を変えるような、運命的な出逢いになることもある。私がどうして詩を必要とするのか。それはやっぱり「想像する」ことの自由を手に入れたいからだと思います。詩の世界から広がるイメージはどこまでも広がって、言葉に出来ないところまでたどり着いた時、私の中で音楽にかたちを変えてゆくのです。

■さて、ここでご紹介したいのは詩集を専門に扱っているネットのブックショップ「ポエトリージャパン」です。主宰の木村ユウさんも詩人。とにかくショップを運営する真摯な姿勢からは、詩に対する「決意」と「愛情」を感じます。私のCDにもジャケットに詩(のようなもの)を書いていることから、特別にお取り扱い頂いてます。詩集屋さんに置いて頂けるCD。我ながらちょっと気に入っています。

グレープフルーツ・ジュース グレープフルーツ・ジュース

著者:南風 椎,オノ ヨーコ
販売元:講談社
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