ハチミツとクローバー
■正直、カテゴリーを「映画」にしようか「お気に入り」にしようか迷いました。TVアニメもあるんですけれど、私は断然「コミック」派。自分の中に登場人物たちの「声」や「雰囲気」が出来上がりすぎていて、後発のアニメや来週公開の映画は「別物」という感じで観てしまいます。年齢のせいもあるでしょうか・・・。■「ハチクロ」を知ったのは本当に偶然です。東京の宗教建築が特集された先月の「東京人 VOl.7」を本屋で開いたら、同潤会三ノ輪アパートで「ハチクロ」の映画が撮影されたという記事を目にしたことからでした。(この三ノ輪アパートもついに解体されるそう・・)。その中で、建築評論家の植田実氏(71)が(「ハチクロ」は5,6回読み返してもまだ面白い)と書かれていて、なんとなく興味を持ちました。そこで「東京人」と一緒にまたまたなんとなく一巻を買い、翌日には残りの8巻まで(昨日9巻が出ました)を大人買いして一気に読みきってしまいました!本当に切なくて、そしてやっぱり何度も読み返してしまうの。■忘れかけていた切ない青春が蘇る・・という人もいるでしょうし、美術大学を舞台にした若いアーティストたちの真摯な悩みっぷりに共感する人もいるでしょう。ストーリーが単なる恋愛劇に留まらず、芸術や人間模様も複雑に絡み合っているので、その時々思い入れる人物を代えてみると、自分の中にもプリズムのように色々な感情が浮き上がります。それが何度も読ませてしまう作品の力でしょうか。■あの「のだめカンタービレ」と設定は同じようですが、こちらが「アクが強い」登場人物が多いのに対して、「ハチクロ」の人物はもっと繊細で内省的です。音楽家と美術家の違いでしょうか・・(かくいう私は音楽家(^^;))。登場人物たちの、イマジネーション豊かで、視覚的感性が際立つ「会話」が特に面白いなあ・・と思ってしまいます。■それにしても、こんな風にストーリーに「はまった」のは、リリー・フランキーの「東京タワー」以来ですから、当たり年(^^)。そしてこの両作品に共通しているのは、資本や広告の力によって「売られた」ものとは明らかに違う「自発的」な魅力と、作品(作者)にある種の「凄み」があることだと思います。現に「ハチクロ」は二度の掲載誌休刊を乗り越え、「東京タワー」も文学界とは違うところから生まれた傑作ですもの(「本屋大賞」は「芥川賞」よりも凄い気がする)。■ヘタな色眼鏡は捨てて、是非オトナの方にこそ読んで頂きたいです。明日からの自分が、少しだけ変わっているかも?
| ハチミツとクローバー (1) 著者:羽海野 チカ |
| ハチミツとクローバー スペシャル・エディション (初回限定生産) 販売元:角川エンタテインメント |
■待ちに待ったDVDが今日(1月12日)出たので、やっと観ました!映画は別物と書きましたが、原作の雰囲気を壊さずに、とてもデリケートに作られた映画でしたよ。甘酸っぱい青春へのオマージュですね、やはり。はぐみ役の蒼井ゆうさんが、とても小柄な女性に見えるのだから、撮影が上手いなあと思いました(周囲が大きいの?)。でも、彼女の描いた絵が「こりゃ天才だ!」という感じじゃなかったのが、少し残念でした。■最近終わった「のだめドラマ」と比べると面白いです。こちらは演奏もばっちり説得力がありました。芸術をテーマにした場合、「嘘がない」というのは、やはりはずせない要素です。ドラマの奥行きが違ってきます。■音楽人vs美術人というか。周囲の美術人はおおむね「のだめ」にはまってます。やっぱり知らない世界は面白い、らしい。他者が介在しない「完全な個の世界」で成立する美術の表現も、ある意味羨ましいな、とこちらは思うわけですが。
| 固定リンク
「お気に入り」カテゴリの記事
- 新宿中村屋 インドカリー粉(2010.06.08)
- 音のまにまに・写真部(2010.03.12)
- リス日和(2010.02.01)
- サンキャッチャー(レインボ-メーカー)(2010.01.26)
- 初雪(2010.01.13)
「映画」カテゴリの記事
- みえる、みえない 映画「ミルコのひかり」(2011.10.20)
- 朱花(はねづ)の月(2011.09.25)
- 新興住宅地のローカリゼーション(2011.04.19)
- レイチェル・カーソンの感性の森/ 未来の食卓(2011.03.10)
- 幸せの経済学(2011.03.08)
「本のこと」カテゴリの記事
- 音楽はいかに現代社会をデザインしたか~教育と音楽の大衆社会史~(2011.07.15)
- 音の神秘(2011.01.20)
- 春色を着よう!(2010.04.23)
- 音さがしの本~リトル・サウンド・エデュケーション(2010.06.16)
- 引越しの極意(2011.02.05)


最近のコメント