ヤング@ハート
■最近、音楽仲間とよく話題になるのが「いつまでやるか」ということ。舞台で醜態をさらける前に辞めるという人も、肉体の限界までという人も・・・それぞれに美学があり、どちらが正しいということはありません。そういう私は、限界に挑戦型かなあ・・
。一応、音楽活動のピークを80歳くらいに想定しているので、今はまだ修業の途中と思っています。が、指の関節曲がるのか?とか。ペダルに足が届く?曲は作れる?とか。ちょうど人生の折り返し地点の今日この頃、ピアノを弾きながらイメージする将来像は、なかなかファンキーです
■この映画「ヤング@ハート」は、アメリカに実在する平均年齢80歳のロックンロール集団のドキュメンタリー。こんな音楽映画は、まず観た記憶がありません。人生最期まで性、いや生を謳歌し、本番を前に力尽きて死んでいくメンバーさえいる。その凄まじい生き様は、まさにロックンロール。いや、パンクでしょうか。■プログラムに難しい新曲を取り入れ、挑戦することを忘れない。普段はクラシックを聴いている人も、ここではロックを受け入れ、楽しんでいる。病気さえ笑い飛ばす。淡々と、でも熱い。決して自己満足では終わらない、舞台に向かう彼らの「プロ根性」に脱帽です。■指導者ボブ・シルマン(53歳)の姿勢も素晴らしい。厳しくも優しい、メンバーとの絶妙な距離感。この活動を始めた28歳当初はおそらく、こんなにも人の死と向き合うことになるとは思わなかったでしょう。それでも続けてこれたのは、何よりも音楽を愛し、メンバーと真摯に向き合い、その後迎える彼らの死に敬意を払っているから。まるで修行僧です。誰にでも真似できることではありません。メンバーは彼の厳しさをボヤきながらも、「負けてたまるか」と諦めずに、厚い信頼を寄せている。年齢や職業ではなく、音楽でつながる人と人。感動です!
■私は昨年の母の日ライブの前日、ママ友のダンサー・野和田恵里花さんを亡くしました。友人の死を受けて舞台に上がる心情がどんなものなのか、少なからずわかっているつもりでしたけど、彼らはハンパじゃありません。本番前の一週間で二人もメンバーを失います。でも、誰も引き下がらない。歌うことが最大の追悼になると知っているからです。旅立った仲間に捧げる歌の力には、聴いている誰もが心を揺さぶられます。
■お互い「80歳までやる」と語っていた彼女に、この映画を見せてあげたかったなぁと思いました。バアさんになった二人が同じ舞台に立っていたら・・・そんなことを考えていたら涙が止まらなくなりました。とにかくハンカチお忘れなく。笑って、泣いて、そして元気になれる。「本気で生きる」ことを真正面から教えてくれる映画です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 2019年もどうぞよろしくお願いいたします(2019.01.04)
- 映画『FAKE』を観て(2016.06.19)
- ササマユウコ/Yuko Sasamaホームページ移転中です。(2016.06.14)
- 聾者の音楽映画『LISTEN』 アフタートークに出演しました。(2016.05.23)
- 映画『LISTEN』14日から公開 (アフタートークに出演します)。(2016.05.11)
最近のコメント