おくりびと Departures
■(2009/2/23記)第81回米アカデミー賞 外国語映画賞受賞!海外での評価も高いですね。日本の心が、世界に受け入れられていくことはとても嬉しいです。何を隠そう、学校を卒業して最初に飛び込んだのが映画業界でした。世間はバブル絶頂期、派手なハリウッド映画が受け、日本映画界は衰退して全く元気の無い時代でした。皮肉にも100年に1度の不況という今、今回の日本映画の快挙を当時の誰が想像したでしょう!(もちろん、この不況も)。日本の偉い人、これからはもっと文化や教育にお金だして下さい!日本の未来のために。 ■義母の葬儀は無宗教&家族葬。天寿をまっとうし、生粋の江戸っ子だった彼女の人柄もあって、余計なものは一切なく、なんとも清々しい式でした。斎場に集まった小さな孫やひ孫たちは走り回り、まるで砂場遊びのように夢中で棺の中を花で埋め、骨壷の前の遺骨を手づかみし、泣いたり笑ったり怒られたりしながら、それでも小さな心に何かを感じ、思い思いに’ばあちゃん’にお別れをする光景に、人生の本質を見たような気がしました。想像力の逞しい娘は最初、’死’が怖くて棺の前で固まっていたのだけど、「おばあちゃん、’ああ楽しかった’って、にっこり笑ってるから見てごらん」と言うと、安心したように遺体に花を添えお別れをしていました。 ■最近読んだ本で印象に残っているのは、インド・ガンジス川にある'公開’火葬場の話。屋外で焼かれる遺体の頭蓋骨は、最期に「パン!」と大きな音を立てて割れるといいます。そしてその音が聞けると、本人は何の未練もなく、この世の命をまっとうしたことになる。まるでクラッカーを鳴らすように、なんとも晴れ晴れしい命の終わり方です。 ■死生観(遺体の扱い)は国や文化によってさまざまだけれど、映画「おくりびと」では’納棺師’の視点から、日本の文化=心が描かれています(ユーモアも忘れずに)。リストラからやむを得ず、この特殊な仕事に就いた元チェロ奏者。主人公である彼の心情をもっと掘り下げたり、妻の葛藤を表面的に終わらせなかったり、全体をシリアスにすることも出来ただろうに、どこかインド的にカラっとまとめているところが、かえっていいのかなと思いました。伝統的な納棺の儀には、日本独特の型の美学があり、故人の尊厳を守る心があります。そして丁寧で美しい所作で扱われる故人を見守ることで、残された者の心も静かに癒されていくのでした。■先日の義母の葬儀では、火葬場の方が丁寧に丁寧に遺灰を集め、骨壷に納めていく仕事を見つめている時に、参列者の心が同じ場所で’しん’となり、ひとつになった瞬間がありました。なんとも静謐で神聖な時でした。そこには宗教も国境も越えた、命の尊さだけがありました。 ■映画の最後に、近頃亡くなった峰岸徹さんが重要な役どころで出てきます。撮影は昨年の春だったというから、まさか自分の運命はご存知なかっただろうけれど。この役を演じたことが、彼の役者人生に、この作品に深い意味を与えたことは間違いありません。 「おくりびと」公式サイト→ ■2008モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■同じくアカデミー賞短編アニメ賞「つみきのいえ」受賞もおめでとうございます!とっても気になる絵と内容。インドの貧民街を舞台にしたダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネラ」も公開が待ち遠しいです!アカデミー賞も不況の影響で脱ハリウッド?お金をかけただけの映画ではなく、作り手の真摯なココロが伝わる作品に光をあてる。映画が本来の姿を取り戻していくようで嬉しいです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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