精霊を降ろす楽器・ムビラ
■昨日は、ジンバブエから来日中のムビラの巨匠・ルケン・クワリ・パシパミレさん(57歳)のライブに行きました(ンゴマ・ジャパニ主催)。情報は先日「笑っていいとも!」にも登場した(らしい?)ニャマ・カンテさんのパートナーで、文化人類学者・鈴木裕之さんから頂きました。■タンザニア伝統舞踊を日本に伝える伊藤宏子さんを始め多くのアーティスト、アフリカに精通している文学者・平尾吉直さんの上映&公演もある、3時間におよぶ濃厚なアフリカン・タイムでした。(一緒だった小鳥隊長にも、アフリカは強烈な印象だった様子。いろんな意味で
)
■私がヨガをやる時に聴く音楽のひとつに、アメリカ人ポール・バーリナーが30年前に録音したジンバブエ・ショナ族のムビラがあります(写真はCDジャケ)。現地録音ゆえのリアルな、とても貴重な音源資料です。そしてそのミニマルで奥深いムビラ・ミュージックに呼吸を合わせていると、自分の気持も音楽モードに切り替わっていきます。しかもパシパミレ氏は、そのCDで演奏した今も生存している唯ひとりのミュージシャンだそうです。ジンバブエの寿命が長寿国日本とはかけ離れたものだということが、よくわかります。
■ムビラを初めて聴いた(見た)のは、20年以上前になります。パリで地下鉄に乗っていた時に、背の高いアフリカ系の人が首から大きなひょうたんを下げて入ってきました。最初はお弁当売りかな?と思ったんですけど
、それは’デゼ’という共鳴具に入ったムビラだったのです。彼が演奏しながら車両を歩き始めると、パリっ子たちはポケットから’渋々’小銭を出して渡していました。そして地下鉄がホームに着くと、ムビラはまた別の車両に移っていきました。
■その時は演奏に感動するというよりも、その’光景’がとにかく印象的で(東京の地下鉄ではあり得ないので)、楽器を調べるまでには至りませんでした。■その後、ロンドンにいた田尻幸子さんからカリンバをお土産にもらったり、自分でも手に入れたり、と。今もポロン、ポロンと気まぐれに弾きますが、’音楽’として強烈に意識したのはさらに後。スタッフとして働いていた劇場で「メッカへの道」(ひょうご舞台芸術・三田和代主演)が上演された時に、BGMでムビラ(たぶん「仮小屋のための枝伐採」という曲)が使われた時でした。最初の旋律がロビーに流れ始めた時、鳥肌が立ったというか。遺伝子レベルで自分の何かが反応しました。実はこの曲からインスピレーションを受けて作った曲もあるんです。そういえば「生きものの音」の録音時には、真砂さんのカリンバとピアノの共演がありましたが、長すぎて?収録しませんでした![]()
■ミニマルなループとさわり音がなんとも心地よく、ピアノでこの世界が表現出来ないかと今も格闘中です。’クラシックの耳’には’ご法度’な音も多いですが、そもそも何が基準なのかと。 自分が目指す音楽の場所にも、ムビラはいます。’私’を越えて、音楽で精霊を降ろすという感覚。宗教的でもありますが、とても共感するのでした。
■ジンバブエは複雑で哀しい歴史を辿った(ている)国。ムビラが禁止されていた時代もあります。それでも失われない清い魂が精霊を呼び、そして音楽に宿り、聴くものに伝わります。楽器情報はこちらでも。
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