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2010年6月16日 (水)

音さがしの本~リトル・サウンド・エデュケーション

音さがしの本 ≪増補版≫ リトル・サウンド・エデュケーション Book 音さがしの本 ≪増補版≫ リトル・サウンド・エデュケーション

著者:R.マリー シェーファー,今田 匡彦
販売元:春秋社
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※この記事を書いた9か月後に3.11を経験し、
現在、今田匡彦研究室に籍を置きながら、
サウンド・エデュケーションのWSを研究&実践しています。詳細はこちらをご覧ください⇒



数年前にご紹介した「世界の調律」の著者マリー・シェーファーが提唱した
サウンド・エデュケーションを、こども用にアレンジした本です。
弘前大学教育学部准教授(2011年現在・教授)の今田 匡彦先生との共著です。

こども用ではありますが、大人の方にこそ是非(大人用もありますが、こちらがおすすめ)。
これもまた「世界の調律」のように、音楽の専門家ではなくても、
普段耳(聴くこと)をあまり意識していない方に、
読んで&実践して頂けたらなあと、勝手に思っております。
耳からはじまるコミュニケーション論としても。

こども向けの音楽ワークショップには、音楽を聴いて(なぜかクラシックが多いですが)、
さっそく楽器に触れて「音を出してみよう!」というのはよく見かけますが、
実は音楽よりも先に、身の周りの音を「聴いてみる」方が先じゃないの?と。
そんなことに気づける内容になっています。

話す前に、よく聞いて。
子供の頃からさんざん言われてきましたけど(--;)、
赤ちゃんが言葉を発するまでには、1年近く「聴く」時間があるように、
音楽だって、あくまでもこの延長線上にある。
音を出したり、歌うことはもちろん楽しいのだけど、
自分の出す音や周囲の音を「聴く」訓練が出来ていない子供たちが一斉に音を出すと、
けっこう辛い音環境になりますよね(><)。
そこで先に耳を訓練した方が、
結果的に音楽を奏でることへの近道にもなるというわけです。

最近、自戒も込めて思うのだけど、
実は世界で一番音に無頓着なのが、音楽家かもしれない~と。
ジャンルに関わらず、汚い音を出す音楽家も、増えている気がします(生音もPAも録音も)。
サワリや倍音といった美しいノイズがあるように、
汚い音というのは、音の種類や音量じゃなくて、
そこにある環境と調和していない音ということだと思うのですが。

エコだ、環境問題だ、と叫ばれているわりに、
音環境に関しても、まだまだ改善されていないしね。
相変わらず街は音楽で溢れているし、テレビのCMはうるさいし。
表現活動ではない、不特定多数の耳に入る音作りの場には
音量だけでなく、音質や種類、音響機材の設置場所や定位も含め、
もっともっと配慮が必要だと思います。
って、こんなこと言ってると失業ですけどね(^^l)。

でも音を出す仕事に携わっている人は、一度は真剣に考えないといけない問題。
自分に言ってるの、自分に。

あと、イヤホン族も大丈夫なのかな。
耳は無意識に距離感も測っているので、耳を塞いだ行動には問題が出てきます。
駅のホームで人のギリギリ近くを通り過ぎていく人、たいがい耳に白いイヤホンが見えます。
あと、有名なアーティストがスタジアム公演を繰り返すことで聴力を失った話、
あれはモニタ用のイヤホンも一因だと思います。

いや、そういう私、ウォークマン世代ですし、実はロック系も好きですから。
さんざん大きな音も聴いてきたわけですけど(^^;)。
耳は意外と鈍感なんだと思います。
「大音量気持ちいい!」って脳や体が反応しても、
きっと耳だけは悲鳴を上げている。
そういう経験、皆さん若い頃に一度はしたことあると思うんだけど。
突発性難聴も含め、耳の悲鳴に、耳を傾けないといけません。
ちなみにロック系のコンサートで、席がスピーカーの前だったりすると、
耳にティッシュを詰めて防御していました。
(そこまでして聴くか、って感じですけど ^^;)

そして子どもを生んでからは、「はたしてこの音は、赤ちゃんに聴かせても安全か?」という視点で、
音楽を捉えなおすことが多くなりました。
食べ物と同じです。
あと母が補聴器になってしまって、凄く不快そうなんです。
私の弾くピアノも、雑音に聴こえるらしい(泣)。
若い頃の聴力って永遠じゃないんですよね。
耳、大切にしないとって心底思いました。

耳からはじまるコミュニケーション。
きっと新しい発見があると思います。
今の時代はビジュアルに頼りすぎ。
音楽だってパソコンで(目で)作ることが出来てしまうくらいですから。
つい忘れてしまいがちな「耳」の存在を、いまいちど意識してみましょう。

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