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2011年8月の3件の投稿

2011年8月18日 (木)

ワークショップ考察③

■8月7日~16日■光に気づく照明デザインワークショップ
~THE AWARENESS OF LIGHT 2011~
講師・松本直み’shoko'
主催・桜美林大学フォーミングアーツ・インスティテュート

こちらは子供向けではなく、プルヌスホールでの桜美林大学生向け。
WSの達人、照明デザイナーshokoさんの’教育’の現場を見学させて頂く。
対象年齢が上がり、参加者がアマチュアではなくプロ志望者の場合、
WSには、’手段’から一歩進んだ’目的’が生じる。
それはもう’教育’の現場。ただし、いわゆる学校教育とは違う。
現場教育、いや、師匠と弟子による真剣勝負の道場である。
当然、師匠の力量がWSの行く末を決める。

WSの師匠として、いわゆる’たたき上げ世代’は無敵だ。
学校ではなくプロの現場で長年培った知識や経験値、
アナログ機材で鍛えあげた’手仕事の感覚’、
パソコンがなくても闘えるという’人間力’。
すでに教えるべき独自のメソッドが確立されている。

しかし師匠は、そのメソッドを惜しげもなく学生に与えるということはしない。
ただ自分の知識や経験を与えるだけでは、
先生と生徒という’上下関係’に基づいた学校教育となんら変わりないからだ。

だから、学生たちに「自分で考え、失敗する経験」も提供する。
そう、実はここでも、こどもWSと同様に’距離感’が大切。
時には反論も受け入れる。学生の意見やアイデアも、
その先に、たとえ失敗が見えていようとも尊重する。
それは’忍耐’のようにも思えるし、新しい感覚を楽しんでいる、
ベテランならではの’強かさ=余裕’のようにも見える。まさに、プロの仕事場。
あとはPC打ち込みではなく、手で仕事をさせるという姿勢。
これは音響にも同じことが言えるのだけど、
デジタルネイティブ世代だからこそ、まずは手で操作してカラダ感覚を養うことが、
結果的に、クリエイティブな打ち込み作業への近道でもあるからだ。
単なる数字のオペレートからは、何の創造性も生まれない。
その仕事の’本来の醍醐味’を知ることなく終わってしまう。

ひとつ興味深かったのは、学生たちのプレゼンテーション。
面白いアイデアをもった学生が、必ずしもよいプレゼンをするとは限らず、
また拙いプレゼンの中にも、光るアイデアを持った学生もいるということ。
それを、いちいち丁寧に掬い上げるかといえば、プロの現場はそこまで甘くなく、
退屈ならば、ばっさりやられる。
でもそれでいいんだと思う。
こんなにいいアイデアなのに、なぜ伝わらないのか。気に入ってもらえないのか。
そこを真剣に考えることが、何よりもWSで学ぶこと。
今回は照明デザインだったけど、
結局は、その仕事を通してコミュニケーションを学ぶ場に他ならないのだから。

舞台照明家 松本直み SHOKOさん

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ワークショップ考察②

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■8月8日~13日■劇場であそぼう Vol.5
プルヌスホールこどもダンスワークショップ
「夏休みだよっ! カラダとあそぼう」

講師・森下真樹
主催・桜美林大学パフォーミングアーツ・インスティテュート

連続6日間、しかもお盆の時期に毎日3時間・・・と、
夏休みのこども相手にしては、
ずいぶん大胆な企画だなあ・・と心配すらしていたのだけど、
そんな心配はどこ吹く風。
今年で5回目になるプルヌスホールの「劇場であそぼう」のスタッフたちは、
確信犯のごとく、このWSをやってのけた。
主催者側のホンキ度がこどもにも伝わって、
21名のこども参加者はひとりも欠けることなく、
最終日には1時間30分の大作「森下真樹と21人のヘンテコども」まで誕生させた。

講師の森下真樹さんは、まるでサーカスの猛獣使いのごとく、こどもたちを’使う’。
その手法は真似っこだったり、音のだるまさんが転んだだったり、
どこか懐かしい’カラダ遊び’の要素がいっぱい。日常の動作もたくさん入ってる。
指先だけのゲーム世代でも、カラダをめいっぱい使ったこのへんな遊びの数々に、
あっという間に魅了される。
それがとにかく面白いから、何だってやる。
自意識の強いうちの子も、いつの間にか楽しげにヘンテコ踊りをやってた。
それも自発的に、まるで魔法にでもかけられたかのように。
こどもたちのココロとカラダが、
どんどん解放されていく様子は見ていて嬉しい (時には悪ノリOKで)。

そして何気ない日常の動作やカラダ遊びに、
ちょっとした音や、音楽がつくことで、どんどんダンスが生まれる。
今回は三味線&ハーモニカ&ドラムという、「わるくないバンド」が、
ライブ演奏で場を盛り上げていた。やっぱり生演奏はいい。悪くない。
おとなの言われたとおりにやるんじゃない、
自分で作り出した動きに音がついた時の感動。
それはもう立派な、創造の瞬間なのだ。

そして劇場という場所が、真剣に遊ぶ場所なんだっていうことも発見できる。
学校とは違うルールで、先生や親とは明らかに違う、ヘンテコで真剣なおとなたち。
そういう世界があることを知っておくだけでも、
このご時世、こどもの日常に風穴を開けてくれたに違いない。

とにかくWSはおとなも一生懸命にやる。
こどもと真剣に向き合って、時には恥をかく。
そういうスタンスの、成功例。

森下真樹さんサイト
プルヌスホールのブログ

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ワークショップ考察①

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■6月18日■メディア4Youth 連続ワークショップ
「ばらばらだけど、つながってる」
講師・柏木陽(演出家) 吉野さつき(アートマネージャー)
主催・津田塾大学ソーシャル・メディア・センター
共催・サバイバルネット・ライフ ダルク女性ハウス out of frame

家庭や家族、さまざまな事情からココロやカラダに傷を負ってしまったこどもたちとの
とてもデリケートなWS・・ということで、
少し緊張気味にこどもたちを出迎えたが、会場に一行が到着すると空気は一変。
幼児から小学校高学年までのこどもたちは、
一見すると全く普通の子どもたちに見えた。

しかも、WSが食事(パーティ形式)から始まる。
これが、なんだかとてもいい。
ちょっと遠い親戚同士が集まったような、不思議な親近感に包まれている。
おいしい手作りのお惣菜やこどもたちの大好物。
「一緒に食べる」という行為は、人と人との距離をあっという間に近くする。
初めての参加でナーバスになっていた子も、
みんなで一緒に食べて、しゃべって、走りまわっているうちに、どんどん和む。

そして一通り食べ終わると、
こどもとおとな混合のグループに分かれて、いよいよカメラをもって大学構内を走り回る。
そう。とにかく、こどもは興味の赴くままに’走る’のだ。
おとなはついていくのに必死で、
1時間走りっぱなしの撮影タイムは、
しまいにはどちらが引率者かわからない状態だった。

撮影が終わると写真をパソコンに取り込んで、
そこからさらに3枚選んで話を作り、感想をもらうあたりから、
どんどん’メディア・コミュニケーション’が生まれてくる。
こどもたちも、食べて写してという時間を通して、
こちらにココロを許してくれるのがわかる。

柏木さんと吉野さん、そして坂上さんや福田さんの、
参加者との距離のとり方が絶妙だった。
’おっちゃん’こと柏木さんのWSは噂には聞いていたが、
真剣なんだか、ふざけてるのか、なんだかわからないそのスタンスが、
ムードメイカーでもあり、こどもたちのお父さん的役割もこなしていた。
あとのおとなたちも、とにかくそばにいて、でしゃばらずに見守る。
そういう姿勢だったように思う。
こどもたちは、目の前にいる大人たちに守られている安心感の中、自由に羽を伸ばす。
本来ならば家庭で学ぶその’信頼関係’を体験することが、
このWSでは何より大事なのだ。

今回のメディアはあくまでも手段であって、
よい作品を作ることが最終的な目的ではないのだということを、
スタッフが共通認識として持っている。
’愛’という言葉が真っ先に浮かんでくる、特別なWSだった。

津田塾大学ソーシャルメディアセンター
コーディネーター 吉野さつきさんのブログ

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