ワークショップ考察③
■8月7日~16日■光に気づく照明デザインワークショップ
~THE AWARENESS OF LIGHT 2011~
講師・松本直み’shoko'
主催・桜美林大学フォーミングアーツ・インスティテュート
こちらは子供向けではなく、プルヌスホールでの桜美林大学生向け。
WSの達人、照明デザイナーshokoさんの’教育’の現場を見学させて頂く。
対象年齢が上がり、参加者がアマチュアではなくプロ志望者の場合、
WSには、’手段’から一歩進んだ’目的’が生じる。
それはもう’教育’の現場。ただし、いわゆる学校教育とは違う。
現場教育、いや、師匠と弟子による真剣勝負の道場である。
当然、師匠の力量がWSの行く末を決める。
WSの師匠として、いわゆる’たたき上げ世代’は無敵だ。
学校ではなくプロの現場で長年培った知識や経験値、
アナログ機材で鍛えあげた’手仕事の感覚’、
パソコンがなくても闘えるという’人間力’。
すでに教えるべき独自のメソッドが確立されている。
しかし師匠は、そのメソッドを惜しげもなく学生に与えるということはしない。
ただ自分の知識や経験を与えるだけでは、
先生と生徒という’上下関係’に基づいた学校教育となんら変わりないからだ。
だから、学生たちに「自分で考え、失敗する経験」も提供する。
そう、実はここでも、こどもWSと同様に’距離感’が大切。
時には反論も受け入れる。学生の意見やアイデアも、
その先に、たとえ失敗が見えていようとも尊重する。
それは’忍耐’のようにも思えるし、新しい感覚を楽しんでいる、
ベテランならではの’強かさ=余裕’のようにも見える。まさに、プロの仕事場。
あとはPC打ち込みではなく、手で仕事をさせるという姿勢。
これは音響にも同じことが言えるのだけど、
デジタルネイティブ世代だからこそ、まずは手で操作してカラダ感覚を養うことが、
結果的に、クリエイティブな打ち込み作業への近道でもあるからだ。
単なる数字のオペレートからは、何の創造性も生まれない。
その仕事の’本来の醍醐味’を知ることなく終わってしまう。
ひとつ興味深かったのは、学生たちのプレゼンテーション。
面白いアイデアをもった学生が、必ずしもよいプレゼンをするとは限らず、
また拙いプレゼンの中にも、光るアイデアを持った学生もいるということ。
それを、いちいち丁寧に掬い上げるかといえば、プロの現場はそこまで甘くなく、
退屈ならば、ばっさりやられる。
でもそれでいいんだと思う。
こんなにいいアイデアなのに、なぜ伝わらないのか。気に入ってもらえないのか。
そこを真剣に考えることが、何よりもWSで学ぶこと。
今回は照明デザインだったけど、
結局は、その仕事を通してコミュニケーションを学ぶ場に他ならないのだから。
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