« さようなら原発 明治公園6万人デモに参加しました | トップページ | きこえる、きこえない 「R&J」 (ロミオとジュリエット) »

2011年9月25日 (日)

朱花(はねづ)の月

Photo

中学高校と修学旅行は京都・奈良だった。
東京郊外の新興住宅地に子供が爆発的に増えている頃で(確か11クラス)、
旅行の予算も無かったのだろう。
その後、京都は何度も足を運んでいるのに、
奈良はその時の2回だけ。
けれども強烈に印象に残っているのは法隆寺の百済観音と、自転車で一周した明日香村の澄んだ空気。
そう、どちらも奈良。
そしていつでも心のどこかで、また奈良に行きたいと思う自分がいる。

私は河瀬直美監督が撮る奈良が好きだ。
奈良の森の深い緑や、古来からつづく深遠な空気を、
皮膚感覚で映像に捕らえることの出来る世界で唯一の監督。
彼女の撮る緑色はとにかく美しい。

そして今回は朱色。
紅花やくちなしの赤は、まさに血の色。
赤と緑が織り成す複雑な男女の物語には、暗示的に血の匂いがつきまとい、
そしてある意味’約束された’結末を迎える。

一見ほっこり雑誌にも登場しそうな爽やかな光と、それに対比される闇。
一筋縄ではいかない心の機微が、時空を越えて細部に織り交ぜられている。
万葉集の歌に思いを馳せながら、
やっぱり男と女は永遠にわかりあえないと思ってみたり、みなかったり。

そして何より驚いたのは、
主人公が自転車で駆け抜ける明日香村が、
十代の頃に自分が見た風景と何ひとつ変わっていなかったこと。
いま、自分をとりまく世界はこんなにも大きく変わってしまったのに、
あの場所は古来から変わらずに、今日も存在する。
その尊さと悠久の時の流れに、どこかほっとする自分がいた。

http://www.hanezu.com/

|

« さようなら原発 明治公園6万人デモに参加しました | トップページ | きこえる、きこえない 「R&J」 (ロミオとジュリエット) »

映画」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/33709/42011827

この記事へのトラックバック一覧です: 朱花(はねづ)の月:

« さようなら原発 明治公園6万人デモに参加しました | トップページ | きこえる、きこえない 「R&J」 (ロミオとジュリエット) »