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2015年6月 8日 (月)

劇団ままごと『わが星』を観ました

Wagahoshi_5

路上観察をご一緒している山内健司さん(青年団)も、新メンバーとして出演中の劇団ままごと「わが星」を先日初めて観ました(再再演)。以前FBではご紹介しましたが、この芝居の軸となっているクチロロの「00:00:00」を、311後によく聞いていました。何がそんなに自分を捉えたのかと思い返すと、社会の混乱の中で規則正しく1秒が刻まれる時報の純音をきいて心を落ち着けていたように思います。宇宙の音楽(ムジカムンダーナ)を「円」に置き換え、内と外をつなぐ「関係性」としてのサウンドスケープ思想を再定義していた頃でした。
話しを戻すと、この舞台の印象は「ミュージカル」や「音楽劇」ではありません。配布された演出家(柴幸男氏)のノートにも、今回の稽古では「音楽」を使わない時間が多かったと書かれていました。確かに俳優たちの台詞はグルーヴ感のある「ラップ」というよりも、あくまでもコトバ(台詞)の表現である「演劇」なのです。専門ではないので言い切れませんが、一定のリズムやテンポの中で繰り広げられる、シラブル(音節)やモーラに則った現代詩のようなコトバで構築されている「音楽的な時間」というか。その手法は口ロロ的であるとも言えますし、だからこそ音楽と演劇の「境界線上」にある作品としても注目しました。
どちらにしても、規則正しく刻まれる時報を基調音に伸縮する時間の縦軸と横軸のイメージが、サークルの中心点(団地のちゃぶ台)からどこまでも壮大に宇宙(ソト)へと広がっていく。そしてその「手に負えない切なさ」に理由も無く涙が出てしまう。ミクロとマクロのコスモス(宇宙)の物語です。
「家族」として擬人化された太陽系の惑星たちに、自分の「今」や「過去」や「未来」を重ね合わせながら「時間」の伸縮を感じる体験。この日はちょうど女子高生で埋まった客席の様子も同時に視野に入り、個人的な「時間」も感じられて面白かったです。若い星、もう若くない星。生まれては死んでいく生命のリズム。時報の1秒は自らの鼓動であり、それは体内のオンガクだとあらためて思いました。
公演には未就学児童バージョンもあるそうで、きっと老若男女すべての世代に届く普遍的な作品となると思います。舞台をひとりで観た中学生の娘が、その日の夕ご飯の食卓で「星っていいよねえ」としみじみと呟いていたのが印象的でした。

円形の宇宙、ステージの効果的な使い方や照明は、音楽人たちにもぜひ参考にしてほしいところでした。
 
〇 「わが星」オフィシャルサイト http://wagahoshi.com/
この舞台は、三鷹での一か月公演の後は小豆島公演も控えています。

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