サウンド・エデュケーション(音のワークショップ)を開催しました。
この夏は子ども(親子)対象と大人対象、ふたつのサウンド・エデュケーションを実施する機会に恵まれた(町田市レクリエーション連盟主催)。
森の中の青少年施設にある静かな「和室」がその会場となった。照明を消し、クーラーを消し窓を開け、見知らぬ同志が静寂に包まれた時間の中で、大人の回は少し「哲学的」なアプローチで、日常と非日常をつなぐような時間を過ごしてみた。大人の回では森の「音地図」も作った。
子ども対象の回は、野外でも賑やかなイベントが開催されていたが、ここ(和室)に集まってきた子ども(親子)たちは、どちらかと言えば聴覚が敏感で「大きな音が苦手」という方たちが多かった。
これは本当に悩ましいのだけれど、サウンド・エデュケーションで「耳をひらく」体験は世界の「騒音」に気づく体験となる。最終的には「沈黙」にたどり着き、時には音楽を奏でることの「意味」を深く問い直す機会にもなる。
最近の公立小学校では、休み時間にまるでテーマパークのようにBGMを流していることも珍しくない。子どもたちの元気な声には先生たちも負けていられない。みんなが大声で「怒鳴り合っている」ような状態である。
学校のサウンドスケープは想像以上に騒がしいものだ。日頃から聴覚に敏感な子どもにとっては苦痛だろうし、無意識のうちに全ての子どもたちの神経を疲れさせているかもしれない(先生たちも)。だからこそ、休日くらい静かに過ごそう。そういう落ち着いた時間を経験する大切さは、シェーファーがすでに『教室の犀』の中でも「ヨガ」を例に提唱しているし、最近のニューヨークやフランスの学校では、授業の前に「ヨガ」を取り入れることが落ち着いた雰囲気をつくるのに効果があるという結果も発表されている(世界的に騒々しくなって子どもたちが落ち着かなくなっている?)。
「子どもはみんな元気でにぎやか」というのは実は大人の思い込みもあり、またそういう「子ども像」が望まれる。本当は大人も子どもも、自然の音だけが聞こえる「静寂」に包まれた時間の心地よさや、小さな声でおしゃべりする親密さや安心感を「知らない」だけなのかもしれない。
以下は、大人向けワークショップの中でもテキストとしてご紹介した絵本です。作者とは面識がないので背景はわからないけれど、サウンド・エデュケーションと共通する「耳をひらく」プロセスに基づいて描かれた簡素で美しい世界です。
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