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2015年11月12日 (木)

‘歩く’芸術活動のススメ。~路上観察学会分科会 発足一年イベント開催します。

Photo_2この一年、偶然と直感でつながったメンバーたちと路上観察をしていた。月に一度集まっては、都内各所を地道に歩いてみた。
もともとサウンドスケープ思想を学ぶ「サウンド・エデュケーション」には「サウンド・ウォーク(きき歩き)」というメソッドがある。周辺に耳をひらいて一緒に歩く行為が「他者の耳(世界)」を知るための有効な手段であることは、シェーファーの仲間だったヒルデガード・ウェスターカンプが40年に渡る「サウンドスケープ・リスニング」として実証し(「音楽教育実践ジャーナル』vol.9no.1 日本音楽教育学会発行)、弘前大研究室でも実践されている。

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赤瀬川原平氏を中心とした本家の路上観察学会では、よく「目玉」というコトバが使われる。赤瀬川氏が亡くなったあとも、すでにみんな彼の「目玉」を持っていて、それを感じながら一緒に歩いている気分になるというメンバーの追悼記事を読んだ時、なんだか訳もわからず胸が熱くなった。人と人がつながることの本質がそこにあるように思えた。「目玉」でも「耳」でも、その人の「世界」を知っている、分かち合っているということが本当に「つながる」ということなのだ。
この1年、月1回のペースで私が一緒に歩いた「仲間」は、リーダーの鈴木健介(舞台美術)を始め、平田オリザ氏が主宰する劇団青年団の皆さんだ。しかもほぼ同世代の看板役者(山内健司、松田弘子)、つまり「コトバ」のスペシャリストと言える「演劇界」に身を置いている人たちだ。これは私にとってちょっとした「越境」、留学のような体験だった。特に青年団といえば「現代口語演劇」、自然な話し言葉を使う「静かな演劇」で有名だ。最近は平田オリザ氏の発言が社会的な影響も持つようになり(先日の学会でも「大先生」であった)、それは劇団員の静かな誇りともなっていることだろう。しかも青年団は「音楽を使わない演劇」を得意とする。それは舞台上で「リアル」を追究すればごく自然な選択だし(日常にはBGMはつかないので)、どの劇団よりも「言葉の力」を信じている人たちとも言える。つまりは「音楽」からは最も遠い場所にある表現を目指す人たちなのだ(と思っていたが、、その後日談はぜひ当日会場で)。
実は青年団は自分と同世代の劇団で、学生時代からその存在は耳にしていた。しかし当時は野田秀樹が率いる「夢の遊眠社」や鴻上尚史の「第三舞台」、第三エロチカに山の手事情社など、下北沢の演劇シーンは派手な音楽やアクション、コトバ遊びを得意とする「第三世代」と言われた新しい演劇旋風が巻き起こっていた。通学途中に下北沢駅があったせいで、私も途中下車が習慣となるくらいすっかりその熱に呑まれていた。
どこか地味な印象のあった青年団の作品に実際に出会ったのは、第三世代の嵐が去った10年近く後の世紀末。開館二年目の世田谷・シアタートラムだった。ちょうど「ソウル市民」の現場スタッフに入った私は、彼らのウォームアップ時のユニークな「発声練習」がすっかり気に入って、会場内で執拗に観察していた記憶がある(これを音楽にして舞台に上げたら面白いかもと不謹慎なことも考えながら)。しかし初めてみた青年団の「ソウル市民」は噂通り静かで淡々と、非常に印象に残る質の高いコトバの演劇だった。細かい内容は忘れてしまったが「面白い」と思ったことは覚えている。そしてその時の主役が、今回出演のお二人(山内さん、松田さん)だったということを知ったのは、それから17年後のつい先日のことである。それくらい青年団の俳優は匿名性を要求されるし、ある意味で「職人集団」だ。それに加えて路上観察もまた「哲学カフェ」のように正体を明かさない匿名性が、ある種の居心地の良い関係性を作り出していた。だから一年近く、私は「(社会的な)誰と」歩いているのか実はよくわかっていなかった。しかし1年経った今、彼らの「目玉」は知っている。

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というような理屈っぽい話が出るかは未知数ですが、イベント当日のササマユウコは「観察者を観察する人」として出演します。
別に暇なわけでもなく、どちらかと言えば忙しい大人たちがなぜここまでして集い歩くのか。「あえての町田」で「こんな世の中だからこそ真剣に遊ぶ」ことの意味を一緒に探ってみませんか?。事前予約が必要ですが、どなたでも参加可能です。まずはお気軽にふらりと足を向けてみてください。第二部は「ま、とりあえず一緒に歩こう。で、どこ行く?」と題した会場を交えた公開座談会です。一線の舞台に関わる皆さんから最近の「歩く芸術」の動向についてもお話を伺います。
書を捨てよ、町に出よ。譜を捨てよ、即興せよ。歩け、歩け。町田は都心から心の距離が遠いですが、下北沢駅から快速で2駅(約20分)ということは意外でしょうか。

〇11月21日(土) 19時~21時 会場 solid&liquid MACHIDA (町田駅マルイ6階)
イベント詳細はこちらからご覧ください。

〇事前予約 メールにてお願いいたします。 kitada@readingstyle.co.jp

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