アーツ千代田3331レジデンス・アーティスト Jan&Angelaと過ごした一週間日記③
【12月20日】まさに日本晴れの日曜日。夏にはバンクーバーで開催されたウェスターカンプのサウンドウォークにも参加したJanの提案で、三人でサウンドウォークをすることになった。場所は私の提案で原宿駅から明治神宮内を。ここは自然音から周辺音、静寂から街の喧騒まで、まさに「内と外」のサウンドスケープが聞こえ、そのダイナミックレンジがとても面白い場所だからだ。
もちろん、日本文化との交流目的でスイスから来日した二人にとっても適した場所だと考えた。若者の話し声やディジュリドゥの生演奏が響く原宿駅前のざわめきを抜け、鳥居という「結界」を越えてからは「ひとことも話さない」ことをルールに、サウンドウォークをスタートさせた。砂利を踏みしめる音、野鳥の囀り、そして国際的な観光地らしく世界各国の言語が飛び交い、徐々に杜の中の音が目の前に立ち現れてくる。国籍と足音にも違いがあるように思えた。JanとAngelaはメモを取りながら、時折立ち止まって定点観測的にレコーダーで記録していた。特に手水場の水の音にはとても惹かれているようだった。
境内に入ると日曜日ということもあって結婚式が行われていた。神殿では年末の大掃除なのか、白い装束の人たちが大勢で柏手を打っている。そして大太鼓の音。奥からは結婚式の太鼓が聞こえている。賽銭を投げる音。和服を着た小さな女の子の草履の中に鈴が仕込まれていて、彼女が歩くたびに鈴がチリチリとかわいい音を立てていた。
海外に出る機会が減ってしまっても、各地のアートセンターには思いがけず多くのレジデンス・アーティストが海外から滞在している。そして彼らは、現地のアーティストや日本文化との交流を強く望んでいることは意外と知られていない。普段からアートセンターに足を運び、またネットをチェックしながら、興味を持ったアーティストには積極的に交流していくような習慣が、日本のアーティスト内にも定着するといいなと思う。その「コネクト活動」から予期せぬ面白い展開がたくさん生まれそうな気がしている。
Jan&Angelaは今ごろ京都に向かっていることだろう。来年のプロジェクトはトルコを予定しているという。大切な友人たちの夢のためにも、今は世界の平和を願わずいはいられない。
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