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2018年1月21日 (日)

【満員御礼】即興カフェ3「音と言葉のある風景~What's is Music?」

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2018年1月20日(土・二十日正月・大寒)。青山にある素敵なブックカフェHADEN BOOKSにて開催された『即興カフェVol.3 音と言葉のある風景』。当日偶然にお立ち寄り頂いた方も含め、定員を越えるお客様と共に楽しく終了いたしました。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
 今回は『音と言葉』をテーマに、演奏者たちがあらかじめ提出した言葉をおみくじにした「コトバ譜」を使いながら、言葉との偶然の出会いと即興セッションを試みたり、古代歌謡の歌詞を現代語に置き換えて言葉の時空を越えたり、言葉と音についての談義をしたり、さまざまな実験と対話を繰り広げながら、通常のコンサートとは一味違う「音楽の時間」をお楽しみ頂きました。(写真はリハ風景)

 言葉の枠に音を閉じ込め、あるいは言葉から解き放たれたりする中で、内側から出てくる音や共演者(他者のオト)との関係性の変化が参加者の皆さまと共に実感できたのが興味深かったです。結局最後は「音楽に言葉はいらないのでは?」という「本日の結論」で参加者一同が納得したかたちとなりましたが、言葉によって「しばられる」ことで反対に生まれるクリエイティビティも発見できたことは興味深かったです。
 「ロゴスに囚われるな」とは、哲学音楽論を展開する弘前大学今田研究室でも合言葉のように言われていましたが、2011年以降、自らの音楽の拠り所として言葉(ロゴス)を探求していくうちに、いつの間にか「根源」を忘れつつあったかもしれないと、個人的には初心に戻るような時間となりました。またアップライトピアノをひとつの「音の箱」と捉え直し、平均律を脱構築するような試みもしてみました。現代音楽のプリペアドピアノとは違いますが、鍵盤だけでなく楽器全体を「音具」とみることで、アップライトの可能性は一気に広がる気がします。アナログでどこか滑稽でもあり愛らしくもある機構の仕組みも含め、最近は近代化の工業製品と楽器の間に存在するようなアップライトピアノへの興味が尽きません。
(写真はストリングラフィの糸を括りつけたところ)。

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坂本龍一氏の新作『Async』を始め、いまや世界的な笙奏者となった石川高さんとは、実は15年前にCD『月の栞』(ササマユウコ・坂田梁山・石川高)でご一緒しています。その後は2008年に新宿区のプラネタリウムにて、斉藤鉄平さん作の波紋音とピアノの共演なので、今回は実に10年ぶりの再会となりましたが、時の流れを感じることはありませんでした。そして今回のもうひとりのゲスト『Sound&Recording』編集人の國崎晋さんは、実は石川さんと同じ大学の哲学科ご出身。(かくいう私も同じ大学の教育学科の出身です・・)。同じ時期に狭い四ツ谷のキャンパスに通いながら一度もお目にかかったことがなく、こうして卒業後に音楽の糸で巡り合った不思議な関係なのでした。今回、空間に張り巡らされた鈴木モモさんのストリングラフィが、細くつながる時間の糸を象徴しているようでした。
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受付をお手伝いして下さった浦畠晶子さんも音楽家・ピアニストで、こちらも実は20年来の劇場仲間です。
音楽によってつながる人の縁。それが糸のように編んでいく音の風景が、今回のいちばんのサウンドスケープだったかもしれません。会場の皆さんもとても暖かい雰囲気で、即興の緊張感はありましたが果敢なチャレンジも出来たかなと思います。ご協力頂いたHADEN BOOKS林下さまも、ありがとうございました。

◎サウンドスケープの哲学から新しいオンガクのかたちを実験する音楽家たちのプロジェクト「即興カフェ」は不定期で開催しています。
次回告知はFBの専用ページ をフォローしてくださいね。http://www.facebook.com/improcafe/

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