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2018年4月 2日 (月)

ホームページをリニューアルしました

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最近はほぼFacebookで情報発信しているため、なかなか手がつけられなかった個人サイトですが、以下のふたつをリニューアルしました。
 旧サイトでご紹介している2000年代の作品は、非アカデミックなアプローチで洋の東西の境界に生まれる音楽を探っていました。現在の自分の音楽からは遠い質感ではありますが、録音作品はありがたいことに2007年から現在もN.Y.のThe Orchard社より世界各国で細々と聴かれています。(南はペルーから、北は北欧まで)。
 20年近く前の初作品『青い花』(ピアノ・音楽ササマユウコ、尺八・坂田梁山)から始まって、すべての作品が現在も日本を始め、世界のどこかで聴かれているということは、作った本人にも正直驚きです。なぜならこれらの作品は、当時の音楽がデジタル機器のめざましい発達によって、どんどん複雑化し、作り手の身体感覚から離れていってしまうことへのアンチテーゼでもあったからです。「シンプルに」と「無修正の生演奏、アナログ録音」を貫いたことの未来からの答えだとも思っています。そしてやはり、アーティストは「インディペンデント」であるべきだという考えは今も変わっていません。

 2011年の東日本大震災・原発事故以降は、自分の無知に対する「怒り」から始まりました。「音楽とは何か?何が音楽か?」という世界との関わり直しから、カナダの作曲家M.シェーファーにもっとも近い弘前大学大学院今田匡彦研究室に籍を置きながらサウンドスケープ論を『耳の哲学』と捉え直しました。生きるための知恵としての世界の内と外を「音と言葉」から見つめ直してきました。
 そして2014年には、この哲学の実践・考察拠点として「芸術教育デザイン室CONNECT/コネクト」を立ち上げました。ここでは現在、音楽に限らず「芸術と学術」の様々な可能性を「つなぐ・ひらく・考える」をテーマにして探っています。この活動は「コネクト」の名前の通り、多くの素晴らしい芸術家、研究者たちとの出会いを生み、社会にひらく活動も生み出しています。
 同時に、一時休止していた演奏活動も、ストリングラフィの鈴木モモと共に「即興カフェ」(写真)へとつながりました。また2016年には聾者の音楽映画『LISTEN リッスン』との衝撃的な出会いがあり、現在、協働実験プロジェクト「聾/聴の境界をきく」として「音のある世界|音のない世界」を行き来しながら仲間たちと可能性を探っています。

 東日本大震災以降の展開は、自分の生活も「想定外」の連続でした。しかし7年経ったいま振り返ってみると、これはもう「運命」という言葉以外は見当らないのです。一時は二度と音楽の世界には戻らない、戻れないだろうと自分を絶望の淵に追い込んでいましたが、気が付けばまたピアノの前に座っている。「耳の哲学」が自分を救ってくれたことは確かです。そしてここまでの7年間の経験を他者と分かち合っていくことが、これからのミッションだろうと思っています。肩書はもちろん「音楽家」です。オンガクとは、私にとって「生きること」そのものだからです。
だから「音を出さない音楽家」であることも多々ありますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 
2018年4月 ササマユウコ

1)旧サイト 主に2011年3月11日以前のCD作品について  
    http://bentenrecords.jimdo.com/

2)新サイト 2011年4月以降の活動のポータルサイトです。
    http://yukosasama.jimdo.com/

上記サイト、ササマユウコの活動に関するお問合せはこちらまでお願いします。

(C)2018 Yuko Sasama

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